さらばローティーン ---やつあたり---
「ワタシは絶望しているよ」と伝えてからは、遠慮なくずずーーーんと落ち込むことにしたじょりぃ。
ナナは「そんなに落ち込まないでよー」と妙な具合に慰めてくれますが(心底心配してくれているのはよくわかりましたが)、そう言われたからといって「はいよ〜ん」と復活できるわけもなく。
ナナが会話の矛先をきょんに向けました。
どうしてそんなにきょんにこだわるのか。
ワタシがきょんのことをどう思っているのか、その気持ちはきょんにちゃんと伝わっているのか、きょんはワタシのことをどう思っているのか。
そんなことを細かくワタシに訊ねます。
「キミがそんなに心配しなくても、ワタシときょんは楽しく毎日暮らしているよ」とワタシ。
「じょりぃの気持ちは満たされているわけ?」
「たぶんね」
「前は違うって言ったよ」
「かもね。 でもねえ、基本的にワタシは人に、パートナーのことをとろとろとのろけたり、
自分がいかに愛されているかなんて話をしたりはしないのですよ。
生まれ変わっても云々なんてアホらしいことも言いませんし。(<根に持ってます)
だからネガティブな話ばかりしてキミに心配をかけたかもね。」
「それはわかるけどさ」
「何が言いたいのさ」
「じょりぃはもっと、ちゃんと人から愛されるべきだと思う」
かちん。
キミが言うのかねそれを。
「ははは(乾笑)」
「もっと愛されて、もっと大切にされてほしいんだよ」
「きょんなりにしてくれてると思うけど?」
「それはわかるけど。自分でも言ってたじゃん、もっと愛されていいはずだって」
「もういいよ、その話は」
「じょりぃのこと、もっと愛してくれる人がいるんじゃないかって思っちゃうんだよ。
もっと愛されて、もっと大切にされて、幸せでいてほしいんだよ」
ナナがワタシのことをとーにーかーくー心配して言ってくれているのはよーーーーくわかっていたのですが。
もともと、こんな差し出がましい口出しをする人ではありませんし。
だいたい、他人のことなんて、どーだっていい人ですし。
お節介は嫌いですし、分別もわきまえている人ですし。
余計な問題に首をつっこみたくない人ですし。めんどくさいの大嫌いですし。
いつだってワタシの意志を尊重してくれますし、ワタシが頑固なのもよく知ってます。
きょんのことでワタシが口出しされるのを嫌がっていることも知っています。
それでもあえてこのように言ってくるということは、とにかくホントにワタシのことが心配なのでしょう。
(実はもっといろいろと言われましたが、ここでは書きません)
本当に、ワタシがちゃんと誰かに愛されて満たされて幸せになってほしいと強く思ってくれているのでしょう。
が、ワタシがここで思ったのは、もちろん「どーもありがとー」ではなく、
「オマエがそれを言うのかよ!!!」という憤りにほかありませんでした。
で、キレました。 めずらしく。 ちょいと大きめの声で。
「だから何? そのことについて、キミがどうにかできるわけじゃないだろ!」
今ワタシをきっぱりとフったばっかりじゃん!
ワタシが求めている幸せを、ハッキリと「自分にはできない」って言ったんじゃん!
「できないけど・・・」
「何もできないなら、口を出すなよ」
「・・・・・・・」
「大きなお世話だよ。 きょんのこともそうだけど、キミに何ができるって言うのさ」
「・・・何もできないから、心配してるんじゃん」
「このあいだとかもそうだけどさ、訊いても意味がないことを訊くな」
「意味がないとは思ってないよ」
「じゃ、なんとかしてよ。 できないんでしょ? だったら訊くな!」
「・・・・・ゴメン」
しーーーーーーーん。
実のところ、これってワタシのやつあたりでございますよ。
自分が好きな人に、自分が思っているのと同じように好いてもらえないからって、その人が真剣にワタシのことを心配してくれている話題にそのことをこじつけて、ナナを責めていたんです。
まあ、ナナもナナですが。
何も今日の今日、この話題を出すことはなかったんですよ。
でも、ナナ的にはもうずっと気にして心配してくれていたことだったし、「話したかった話」の中で、このことも大きな比重を占めていたでしょうから、ちゃんと話しておきたかったのでしょう。
でもでも、今のワタシの状態では素直に聞けません。
この人はこのように、「タイミングを待つ」ということが苦手です。子供に対しても然り。(だいぶ成長しましたが)
そして、ワタシを心配してくれているというのに、ワタシに命令形で怒られてしまっているわけです。
気の毒に。不器用女め。
と、今では思えますが、渦中はワタシもカッカきておりますし。
フラれてこれ以上ないというくらい傷ついておりますし。
恥ずかしさでいたたまれなくなっておりますし。
だいたい、やっぱり出過ぎてます。
なんでナナがここまで出過ぎたことを言い出すのか、ワタシにはよくわかりませんが。
ということで。
昇進に次ぐ昇進 ならば万々歳ですが、実のところは傷心に次ぐ傷心なワタシは、思い詰めました。
そして言いました。
「もう、今までと同じになんて、できないかも」<陳腐だわー
この時点で、ワタシはナナに対する気持ちに決別しなければ、と思ったのでした。
望みはまったく絶たれたのですし。
もう妄想もできません。
一緒にいても、話していても、つらい気持ちしかないのであります。
「・・・どういうこと?」
「 よくわかんないけど。 今までどおりって、無理だよ」
「3月に旅行に行こうって言ってたのも、行かないの?」
「 だいたい、そっち、行けるのかよ(冷笑)」 忙しい忙しい言いやがってよーう。
「行けるよ。 何か問題が起きれば別だけど、行こうと思ってるよ」
「ふうん」
「映画とか食事に出かけたりもしないの?」
「・・・・・・・・・」
「あたしの話も、もう聞いてくれないの?」
「・・・・聞くよ」 これを拒否するのはあまりにも狭量です。
「ねえ、あたし、じょりぃのこと尊敬してるし、いなくなってほしくないって思ってるのに」
「・・・・・・・・」
「ダメなの?」
「ダメってわけじゃ・・・・」
「おこがましく聞こえるかもしれないけど、母親が自分の子供を思うように、じょりぃのことはすごく大事なの。
幸せになってほしいって、そればっかり思って、 ちゃんと食事してるかなとか、いつも心配してるのに」
「・・・・ありがとう」
「特別な存在なのに。 それじゃダメなの?」
「ダメじゃないよ。 ありがとう」
「・・・・じゃ、映画とかも行く?」
「・・・誘ってくれれば行くよ・・・」 <何様でしょう。甘ったれたこと言ってます。
「誘えば行ってくれるの? 会ってくれるの?」
「そっちが会いたいって思ってくれるなら」
ワタシったら、すごいいじけぶりですが。
このときはこういう態度しか取れなかったんです。
自分のことしか考えられなかったんです。
こんなたいした態度のワタシに、ナナはホッとしたような、あきらめたような口調で言いました。
「そっか。 よかった。 ありがと」
ゴメン。 ナナ。
と、油断したところで、今度はナナが反撃してきます。
つづく