さらばローティーン ---聞きたくなかった---
1月11日の月曜日。
お年始回りをしていたワタシは、ナナ宅の近くまで来ていたのでナナの家にも寄りまして。
「今年もよろしく」「こちらこそ」なんて当たり障りのない会話を玄関先でし、正味5分足らずで車に向かいました。
「ねえ、いつ時間できるの?」とワタシ。
「なんか忙しくてさ。当分無理みたい」
「えーーーー」 不満をあらわに、車に抱きつくじょりぃ。わけわからないリアクションですが。
「電話にしようか? ホントに当分無理そうだから」
「いや。いい。待つ」
なんて言って帰ってきたのですが、結局何か用事があってその晩電話で話し、そのままその話になりました。
話というのは。
簡単に言ってしまえば、ナナがいかにワタシを大切に思ってくれているか、という話でございました。
というと体裁が良いですが、なんだか始終、怒られていたような気もします。ワタシも怒ってましたが。
出だしからして気に入りません。
「今となってはもうどうでもいいやという気持ちになってきちゃったけど」で話が始まりました。
この時点でかなりワタシのテンションも下がったわけですがおかげさまで。
どうして「きょんさん嫌い」と言ったかというと、「もっとじょりぃのことを大事に思ってほしい」からだそうです。
ここを読んであるいはナナに腹が立つかたもいらっしゃるかもしれませんが。
もう少々お待ちください。
「なるほど。ありがたい心遣いかもしれないが、大きなお世話なのではないかな?」とワタシ。
なんだ、そんな話かい、と。
それにワタシはきょんといて幸せでございますよ?
毎日笑い転げて暮らしておりますよ?
「大きなお世話なのはよくわかってるんだけど。 じょりぃにはいつも幸せでいてほしいんだもん。
なんていうか、もっと満たされていいんじゃないかと思っちゃうんだよ。」
ふうん。ありがとう。 でも。 そこまで言うのならば。
キミが幸せにしてくれてもいいんじゃない?
が、ここでワタシの気持ちは正直引っかかります。
ナナがどうしてくれると、ワタシは幸せなのでしょう。
一緒になりたいとは思っていません。
ナナの家庭が壊れることももちろんまったく望んでいませんし、なによりワタシ自身がそのこと(きょんでなくナナと一緒になる)についてはクエスチョンなのであります。
キスしたい。 抱きしめたい。 エッチは・・・・ちょっと怖いのでまあいいや。<意気地なし
それらがなくてもいい。 ワタシを愛して。
ワタシがキミを求めるくらい、ワタシの気持ちを求めて。
もうずっとずっとずっと、キミにそう思っているのだよ。
それが、ワタシがナナに求める「幸せ」であります。
そんな気持ちを見透かされたかのように、しばらく話したあと、ナナからこんな言葉が出ました。
「あたし、これから先も、じょりぃに恋愛感情を持つことはないと思う」
え?
そ
「・・・・そんなの、わかってるよ」
ワタシからやっと出たのがこのセリフ。
指の先までむずむずと泣きたくなるような、あのイヤな感覚がワタシの全身を走りました。
そんなの、わかってるよ。 わかってるもん。 ずっとわかってたことだよ。
何を今さら、あらたまって。 わざわざ伝えるの?
「わざわざ言われなくても、わかってるよ」 もう一度ワタシ。
「でもあたし、じょりぃのこと、すごく大切だし、好きだよ」
「・・・・うん。 それもわかってる」
「でもじょりぃの好きとは違う。 じょりぃはあたしにキスしたりしたいんでしょ?」
「・・・・・・・・・・」 返事なんてできません。
「あたしはそれはできない。 そういう好きとは違うの」
ならば、キミはワタシを幸せにできないじゃないか。あははははははは。大笑いっと。
なんて余裕はまったくなし。
指先が震えました。
ワタシからやっと出た言葉は
「それだって、わかってるよ」 またもやこれ。九官鳥じゃないんですから。
ちょっと間があいたあとに、ナナ
「でも、じょりぃの中で、そういう期待はあったでしょ?
いつかは、って、 思ってたでしょ?」
そんなことまで訊くなーーーーーーーーーーー!
泣きたい。
「思ってないよ」
「思ってたと思うよ」
「思ってないよ」
「・・・今、傷ついてる?」
「・・・・うん」
「じゃ、思ってたんだよ」
どうしてそこまで追いつめる。
ひどいよ。
そんなことをワタシに伝えるために、ワタシの好きな人が誰なのか知りたがったの?
ワタシにちゃんと釘を刺すために、自分とキスやエッチがしたいかなんてワタシに訊いたの?
ひどいよ。
と、心の中は乱れまくりまして、腹も立ちまして、何より恥ずかしくて。
いたたまれなかったんですが。
ちょっと考えてみると。
「何も期待していないから」
「好きになってなんて思ってないよ」
「どうこうなろうとも思ってないから、安心して」
どれもワタシが今までナナに言いきった言葉であります。
言ってるときは本心から言ってると自分で思っていました。
そして、それでも思い続けていられる自分、というものに ・・・酔っていたのか?ワタシ。
自分をちゃんと、等身大で公正に客観的に見られていなかったんだ。
ごたいそうなことを言っておきながら、「あわよくば」って、確かに思ってて、このナナワタにもそんなことばっかり書いてて。
ナナに見せていた自分と、本当の自分が一致していなかった。
ナナに負担をかけたくない、警戒されたくない、という気持ちからというのも確かにあったけど、実はそうじゃなかったんです。
相手にすべてを伝える義務はもちろんないわけですが。
・・・もしかして、ワタシ、卑怯でいやらしかった?
(いやらしい、というのはエロいいやらしさではありません念のため)
ということに気付きまして。
それらをナナに見透かされていたんです。
恥ずかしさ倍増。 プライドもぐしゃんぐしゃんです。
そして、「あたしにそれを期待されても、あたしには応えることができない」と、ハッキリと宣告されたのです。
「これから先も」のオマケつきで。
聞きたくなかった。
そんな言葉。
一生聞きたくなかった。
このときワタシの頭に浮かんだのが、冗談抜きで「夢破レテ山河アリ」という言葉とその映像イメージでありました。
そして、この映像こそが、ワタシの未来だ、とすら思いました。
ナナワタよ、さようなら。
ということも頭に浮かんだ、webに毒されているワタシのアタマ。
「・・・・そんなこと、言わなくてもよかったのに」 とワタシ。
「ゴメン・・・・でも、あたし的には言わなきゃいけないことだったの」
「聞きたくなかった」
「 ゴメン。 でも、あたしは言ったことを後悔してないよ」
「・・・『生まれ変わってもパパを好きになる☆』の次に聞かされるのがこの話ですか(自虐笑)」<腐ってます
「あれは・・・・なんとなく言っちゃったけど、そんな深い意味はないよ」
「ふうん」
「パパは近所に住んでたから、あたしの家庭事情とかもなんとなく知っていたのね。
だから、あたしとしては他の人と違って『隠さなきゃ』っていう気負いなくつきあえたの。
安心できたの。 だから好きになったの。
だから、ものすごく大恋愛、ってわけじゃなかったしさ。 でもパパのことは好きだよ」
どーでもいーよそんなこたー。
「へえ。 でもさ」
「うん」
「ワタシの方が、パパより全然魅力的なのに」
この期に及んで、言うにことかいて何言ってるんでしょうワタシ。
カッコ悪いことこの上ないですが、しかしキッチリ主張したかったんですよ悪いかこのやろう!<ナナに言ってます
「(笑)かもね」
「かもねじゃなくてさ」 まだ言うか。
「じょりぃのほうが魅力的、という部分はたくさんあるよね」
「違う。 どこをとっても、100%ワタシの方が魅力があると思う」
すごい自信です。 フラれてるのにワタシ。 しかも少なくとも身長では27センチもパパに魅力が負けております。
「確かにじょりぃは魅力的だよ。 だからあたしはじょりぃのことが好きだよ。尊敬してるし、特別な存在だよ」
「・・・・・・・・・」 当然だ。
「でも、じょりぃとは、キスやエッチはできないの」
ダメ押しするなーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
何度も念を押すなーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
悲しい。
わかっていたはずのことなのに、どうしてこんなにワタシは悲しいのか。
わかっていたフリをして、ちっともわかっていなかったからです。自分に都合良く夢見ていたからです。
そして、夢が断たれてしまったからです。 すぱんと見事に断たれました。
シリアスにしてるとイヤなことを口走りそうだし、なにしろメソメソしてしまいそうなので、そのあともへらへらと会話を続けてみましたが。
なんでこんなときまでへらへらしているのか自分。
そして、悲しみをごまかすために、ナナに対して怒ったような態度にもなっております。何をやっているのかしらワタシ。
別に怒っていないのに。ただひたすら悲しいだけなのに。
愚かな考えですが、ナナにワタシの悲しみが伝わらないのは理不尽な気がしました。
理不尽、というのとはちょっと違うな。 理不尽じゃない。
カッコつけた言い方をやめてみます。
自分がかわいそうでかわいそうでしかたなかったのです。
ナナにワタシの悲しみが伝わらず、「じょりぃ、大丈夫そうだな」と思われるのがさびしくてたまらなかったんです。
心配してほしかったんです。
愚かでみっともないけど、「自分のせいで、じょりぃが傷ついている」と、ちゃんとわかってほしかったんです。
やっとの思いで、ワタシはナナに言いました。
「へらへらプリプリしているけれど、ワタシは今、キミが想像できないくらい、絶望的な気持ちになっている」
言い始め、声が潤んでしまったので、ごほんと咳払いしなければなりませんでした。
「・・・ゴメン。 でも絶望することないじゃん」
「・・・・・・・・・」
「・・・じょりぃはさ、今まで自分が好きになった相手は全部自分のものにしてきたんでしょ」
「なに急に」
「(笑)そうでしょ?」
「うん・・・・まあ」
「だから、今回がうまくいかなかった初めての経験だから、絶望的って気がしちゃうだけだよ。それだけのことだと思う」
それだけって。
初黒星がショックで絶望しているとでも言いたいのでしょうか。
「ふっ」<ワタシの笑い声です
「その笑い方、やめてよ」
「そんなくだらないことで絶望しないよ、悪いけど」 悪いなんて思っちゃあいませんが。
「でもそれもあると思うよ」
「キミにはわからないよ」
そう。 キミにはわからないだろうね。
ワタシにとって、キミがどれだけ特別な存在なのか。
どれだけ長いこと想ってきたか。
手に入らなくても、夢を見るだけでどんなに幸せだったか。
わかりっこないよ。
そして、キミの気持ちも、ワタシにはわからないや。
おあいこおあいこ。あはははははは。
なんて思えませんし。 心はどん底。
再起不能の趣すら感じます。
弱虫です。 これがワタシか。
長くなったので、さらに「つづく」